○矢巾町議会基本条例

平成27年3月20日

条例第17号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議会(第3条―第9条)

第3章 議員(第10条―第13条)

第4章 町民等との関係(第14条―第16条)

第5章 町長等との関係(第17条―第19条)

第6章 議会の機能強化(第20条―第23条)

第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第24条―第27条)

第8章 最高規範性及び条例の見直し(第28条・第29条)

附則

私たちは多くの先人が町勢の発展と町民福祉の向上のため、たゆまぬ努力により築きあげてきた歴史と文化を受け継ぎ、次世代に引き継ぐ使命を担っています。

地方分権の進展に伴い町民の意志を町政に反映するため「全体的な視点」で「調整と統合」を重視する地方自治を築いていかなければなりません。

町民の負託に応える議会づくりを目指して信頼される存在感のある議会を築くため、ここに議会の使命と活動の原則を定め、町民とともに歩む議会、開かれた議会、行動する議会を標榜し、議会運営に関する最高規範である矢巾町議会基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、二元代表制における矢巾町議会(以下「議会」という。)及び矢巾町議会議員(以下「議員」という。)の役割及び責務を明らかにするとともに、議会に関する基本的事項を定めることにより、町民の負託に応え、もって町民福祉の向上と公正で民主的な町政の発展に寄与することを目的とする。

(条例の遵守)

第2条 議会及び議員は、この条例及びこの条例の理念に基づいて制定される条例、規則等を遵守し、議会活動を適正に進めなければならない。

第2章 議会

(議会の役割)

第3条 議会は、次に掲げる役割を担う。

(1) 議案、請願等の審議、審査及びこれらの議決を行うこと。

(2) 町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)の事務の執行について、監視及び評価を行うこと。

(3) 町政の課題等について調査研究を行い、政策提言及び政策提案を行うこと。

(4) 国会及び関係行政庁に意見書を提出するほか、決議により議会の意思を表明すること。

(議会の活動原則)

第4条 議会は、前条に規定する役割を果たすため、次に掲げる原則に基づき活動する。

(1) 二元代表制の下、町の意思決定を担う議事機関としての責任を深く認識し、その機能を最大限に発揮すること。

(2) 町民の多様な意見を十分に把握した上で、町民の代表として公正かつ公平な議論、審議、審査等をし、意思決定を行うこと。

(3) 町長等に対して政策提言するとともに、条例の提案、議案の修正、決議等による政策提案を行うこと。

(4) 町民に開かれた議会を目指し、積極的な情報公開に取り組むとともに、議会の議決及び活動について、その経緯及び理由を説明する責任を果たすこと。

(5) 町民に分かりやすい議会の在り方を常に追求し、議会の改革に継続的に取り組むこと。

(通年議会)

第5条 町政の課題等に関する町民の意見を的確に把握し、議会が本来有する自律性により主体的かつ機動的な活動を展開するため、定例会の会期は通年とする。

2 会期を通年とすることに関し必要な事項は、議長が別に定める。

(委員会の活動)

第6条 議会に常任委員会及び議会運営委員会を置くほか、必要に応じて特別委員会を置く。

2 常任委員会、議会運営員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)は、定例会の会期を通年とすることを踏まえ、その専門性及び特性を生かして、町政のあらゆる課題等に迅速かつ柔軟に対応するものとする。

3 委員長は、委員会に付託された事件の審査又は調査の結果を本会議で報告するに当たっては、論点及び争点を明確にするとともに、質疑に対し、責任を持って答弁するものとする。

4 委員会に関し必要な事項は、別に条例で定める。

(議員間討議)

第7条 議会は、言論の場であることを深く認識し、議員相互間の自由な討議を中心に活動しなければならない。

2 議会は、本会議及び委員会において議案の審議又は審査をし、結論を出すに当たっては、合意形成に向けて議員相互間の討議を尽くすよう努める。

(議案等の公表)

第8条 議会は、議案等の情報をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

(議長交際費等の公表)

第9条 議長は、議長交際費その他の議会費について、使途の透明性を確保するため、公表するものとする。

第3章 議員

(議員の活動原則)

第10条 議員は、町民の代表として選挙により選ばれた公職にある者として、次に掲げる原則に基づき活動する。

(1) 町政の課題等に関する町民の多様な意見を的確に把握し、議会活動に反映させるとともに、不断の研鑚によって自己の資質を高めること。

(2) 個別の事案の解決にとどまらず、町民福祉の向上を目指し、町政全体を見据えた広い視点を持って活動すること。

(会派)

第11条 議員は、議会活動に資するため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を有する議員で構成する。

3 会派は、政策決定、政策提言、政策立案等に際して会派間で調整を行うものとし、その活動について、町民に対して説明するよう努めるものとする。

4 議長は、必要があると認めるときは、会派の代表者の会議を開催する。

5 会派の代表者の会議に関し必要な事項は別に定める。

(政務活動費)

第12条 政務活動費は、議員の調査研究活動に資するため、会派に対して交付する。

2 政務活動費は、その使途の透明性を確保しなければならない。

3 政務活動費の交付に関し必要な事項は、別に条例で定める。

(議員の政治倫理)

第13条 議員は、高い倫理的義務を深く自覚し、品位を保持するとともに、自己の地位に基づく影響力を不正に行使し、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。

第4章 町民等との関係

(町民参加)

第14条 議会は、次に掲げる事項を遵守し、町民の議会活動への参加を促進するものとする。

(1) 公聴会及び参考人の制度を活用し、町民、学識経験を有する者等の専門的又は政策的な識見を議会の政策形成に反映させること。

(2) 町民による請願等を政策提案と位置付け、その審議又は審査に当たっては、請願者等が意見を述べる機会を確保すること。

(3) 町民、町民団体等との多様な意見交換の場を設け、議会及び議員の政策形成及び政策立案の能力を強化し、町民と議会の連携により積極的に政策提言及び政策提案を行うこと。

(4) 議員の活動を町民が的確に評価できるよう、議案に対する各議員の表決結果等の情報を提供すること。

(5) 本会議のほか委員会及び全員協議会を原則として公開し、町民が議会活動に関心を持ち、参加できるよう配慮すること。

(6) 町民の傍聴意欲を高めるため、本会議の傍聴人に対して議案の審議に用いる資料を提供すること。

(広報及び広聴の充実)

第15条 議会は、情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用し、多くの町民が議会及び町政に関心を持つよう、議会の広報活動を行う。

2 議会は、町政に関する論点及び争点の情報を、常に町民に対して周知するよう努める。

3 議会は、町政の課題及び議会活動等に関する町民の意見を的確に把握し、情報の共有化を図るため、町民との自由な意見交換を促進する。

(議会報告会)

第16条 議会は、議会で行われた議案の審議等の経過及び結果について町民に対して説明するとともに、町民と政策形成に向けた意見交換を行うため、議会報告会を開催しなければならない。

2 議会報告会に関し必要な事項は、議長が別に定める。

第5章 町長等との関係

(町長等との関係)

第17条 議会及び町長等は、政策をめぐる論点及び争点を明確にし、緊張関係の保持に努めるものとする。

2 議員は、法令に別段の定めがあるものを除き、町長等の附属機関の委員に就任しないものとする。

3 本会議における一般質問は、論点及び争点を明確にして一定の方向性を見いだすため、一問一答の方式により行う。

4 議員は、一般質問に当たっては、その目的を深く認識し、単に町長等への質問に終始することなく、政策提言等の建設的な論議を展開するものとする。

5 町長等は、一般質問の通告制の趣旨を重んじ、論議の充実を図るため、質問の通告をした議員に対して事前に答弁書を提出するものとする。

6 本会議、委員会等に説明のため出席した町長等は、議員の質問及び質疑に対し、論点及び争点の明確化を図るための反問をすることができる。

7 反問に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議会への説明等)

第18条 議会は、町長等が提案する政策、計画、事業及び条例(以下この条において「政策等」という。)について、内容をより明確にするため、町長等に対し、次に掲げる事項を説明するよう求めるものとする。

(1) 政策等を必要とする背景

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 町民参加の実施の有無及びその内容

(4) 他の自治体等との比較

(5) 総合計画との整合性

(6) 政策等の実施に係る財源措置

(7) 将来にわたる政策等の効果及び費用

2 議会は、提案された政策等の審議に当たっては、政策等の適否を判断するため、立案及び執行の各段階における論点及び争点を明確にし、執行後における政策の評価に資する審議を行うものとする。

(予算及び決算における説明資料の提出等)

第19条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、町長に対し、前条第1項各号の規定に準じて施策別又は事業別の説明資料を提出するよう求めるものとする。

2 議会は、決算の審議を通じて町長が執行した施策及び事業の評価を行うとともに、町長に対し、その評価を翌年度以降の予算に反映させるよう求めるものとする。

第6章 議会の機能強化

(議決事件の拡大)

第20条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件については、町民の負託に応える町政運営を実現できるよう、積極的に定めるものとする。

2 議会の議決すべき事件については、別に条例で定める。

(議員定数及び議員報酬)

第21条 議会は、議員定数及び議員報酬の改定について協議する場合においては、町政の現状及び課題並びに将来の見通しを十分に考慮するものとする。

2 議会は、前項の協議に当たっては、町民の意見を聴くほか、公聴会及び参考人の制度を活用するものとする。

3 議員定数及び議員報酬の条例改正案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、議員が明確な改正の理由を付して提出しなければならない。

4 議員定数及び議員報酬については、別に条例で定める。

(正副議長の選挙)

第22条 正副議長の選挙に当たっては、それぞれの職を志願する者が所信を表明する機会を設けるとともに、その選挙の過程を町民に明らかにするものとする。

(予算の確保)

第23条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議事機関としての機能を確保するとともに、議会活動を円滑に展開するため、必要な予算の確保に努める。

第7章 議会及び議会事務局の体制整備

(調査機関の設置)

第24条 議会は、町政の課題及び議会活動等に関する審査又は調査のため必要があると認めるときは、議決により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。

2 議会は、必要に応じて、前項の調査機関に議員を構成員として加えるものとする。

3 調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(議員研修の充実)

第25条 議会は、この条例の理念を議員間で共有するため、一般選挙を経た任期開始後、速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。

2 議会は、議員の政策形成及び政策立案の能力の向上を図るため、各分野から専門的な識見を取り入れるなど、議員研修の充実に努める。

(議会事務局)

第26条 法第138条第2項の規定により、議会に事務局を置く。

2 議会は、議会及び議員の政策形成及び政策立案の能力の向上を図るため、事務局の調査機能及び法務機能の充実に努める。

(議会図書室)

第27条 議会は、議員の調査研究活動に資するため、議会図書室の充実に努めるとともに、町が設置する公民館図書室との連携を図り、議員のみならず、町民の利用に供するものとする。

第8章 最高規範性及び条例の見直し

(最高規範性)

第28条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例、規則等を制定し、又は改廃する場合においては、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。

(条例の見直し)

第29条 議会は、町民の意見、社会情勢の変化等を踏まえ、議会活動に係る不断の評価及び改善を行うとともに、一般選挙を経た任期開始後、速やかに、この条例の目的の達成状況を議会運営委員会において検証する。

2 議会は、前項の検証の結果、必要があると認めるときは、この条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。

3 議会は、前項の規定による措置を講じたときは、検証の経過及び措置を講じた理由を公表するものとする。

この条例は、平成27年4月30日から施行する。

矢巾町議会基本条例

平成27年3月20日 条例第17号

(平成27年4月30日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成27年3月20日 条例第17号