○矢巾町中小企業振興基本条例
令和3年6月1日
条例第13号
矢巾町は、岩手県のほぼ中央に位置し、恵まれた自然環境を残しつつ、北東北の物流拠点である岩手流通センターや工業団地への企業進出により、卸売業、小売業及び運輸業などの産業を基軸に発展し、さらには教育や医療など様々な都市機能が集積する、自然と産業が調和した田園都市である。
この発展を支えてきたのが、町内事業者の大多数を占める中小企業(小規模企業を含む。以下同じ。)であり、新たな産業を生み出し雇用を創出するなど、地域経済やまちづくりを牽引する大きな役割を果たしている。
今後、人口減少が進む中で、本町の地域経済を支える中小企業が持続的な発展を遂げていくためには、経済や社会情勢の変化に柔軟に対応しながら、個々の強みを発揮して付加価値を向上させ、未来を切り開いていくことが重要である。また、中小企業が地域社会との連携を深めることで、地域資源の利活用を促進し、地域内における経済循環を形成することも期待される。
中小企業が地域経済の発展に重要な役割を担うものであるとの認識を、地域で共有するとともに、町、中小企業者及び町民等それぞれの役割を明確化し、中小企業の振興を町政の重要な柱として位置づけ、地域一体となって取り組むため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、本町における地域経済の発展に果たす中小企業の役割とその重要性に鑑み、中小企業の振興について基本的な事項を定めることにより、その基盤の強化及び健全な発展を促進し、もって本町経済の発展及び町民生活の質の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 中小企業関係団体 商工会議所、商工会、中小企業団体中央会、中小企業家同友会その他の中小企業の振興を目的とする団体をいう。
(3) 大企業者 中小企業者以外の事業者であって、町内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(4) 町民 町内に居住し、又は勤務する者をいう。
(基本理念)
第3条 中小企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念として推進するよう努めるものとする。
(1) 中小企業者による経営基盤の強化及び経営の革新を図るための創意工夫と自主的な努力の促進が図られること。
(2) 自然環境、地場産品、人材、技術、産業構造その他町が有する資源を総合的に活用し、地域経済の循環が図られること。
(3) 中小企業者の経済的かつ社会的環境の変化への円滑な適応が図られること。
(4) 町、国、県、中小企業者、中小企業関係団体、大企業者、金融機関及び教育機関が相互に連携し、町民の協力を得て推進されること。
(基本方針)
第4条 町は、基本理念に基づき、次に掲げる事項を基本方針として、中小企業の振興に関する施策を実施するものとする。
(1) 中小企業者の経営基盤の強化及び事業承継の円滑化を図ること。
(2) 中小企業者の新技術及び独創的な技術等を利用した事業活動の促進を図ること。
(3) 中小企業者の創業の促進を図ること。
(4) 中小企業者の人材の確保、育成及び定着を図ること。
(5) 中小企業者の経済的かつ社会的環境の変化に適応した支援を行うこと。
(6) 中小企業者と関係機関の連携、中小企業者相互の連携その他の連携の促進を図ること。
(7) 地域の資源の活用等による産業の発展及び創出を図ること。
(8) 中小企業の振興に関する施策を効果的に実施するために必要な調査及び情報の収集、提供等を行うこと。
(9) 中小企業の振興に必要な制度、組織及び拠点の整備を図ること。
(10) 町が行う工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行及び透明かつ公正な競争に留意しつつ、中小企業者の受注機会の増大に配慮すること。
(町の責務)
第5条 町は、基本方針に基づき、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施するものとする。
2 町は、前項の施策の推進にあたっては、国、県、中小企業者、中小企業関係団体、大企業者、金融機関及び教育機関との連携を積極的に行うものとする。
(中小企業者の努力)
第6条 中小企業者は、次に掲げる事項に積極的に取り組むよう努めるものとする。
(1) 経営基盤の強化、経営の革新及び経済的かつ社会的環境の変化へ即応するため、自主的に取り組むよう努めること。
(2) 町が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めること。
(3) 地域社会を構成する一員として社会的責任を自覚し、地域社会との調和を図り、緊急災害への対応をはじめとして暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めること。
(4) 町内において生産、製造、加工された物品の消費又は提供されるサービスの利用に協力するよう努めるものとする。
(5) 大学及び短期大学校等と産学官連携によって新産業を創出し、及び専門的技術を有する人材を育成すること。
(6) 学校の職場体験活動その他職業に関する理解を深める学習等に協力すること。
(中小企業関係団体の役割)
第7条 中小企業関係団体は、中小企業者の創意工夫及び自主的な努力による取組をそれぞれの立場で積極的に支援するものとする。
2 中小企業関係団体は、町及び中小企業者が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第8条 大企業者は、中小企業者とともに地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、中小企業者が自らの事業活動を維持及び発展させるうえで欠くことのできない重要な存在であることを認識し、中小企業者との連携に努めるものとする。
2 大企業者は、中小企業の振興が地域経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、町及び中小企業者が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
3 大企業者は、中小企業者により生産、製造、加工された物品の消費又は提供されるサービスの利用に協力するよう努めるものとする。
(金融機関の役割)
第9条 金融機関は、中小企業者が経営基盤の強化及び経営の革新並びに創業に取り組むことができるよう、円滑な資金の供給及び経営相談等を行い、中小企業の発展に協力するよう努めるものとする。
2 金融機関は、中小企業の振興が本町経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、町及び中小企業者が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(教育機関の役割)
第10条 大学及び短期大学校等は、産学官連携等によって新産業の創出及び専門的技術を有する人材の育成並びにこれらの研究等に協力するよう努めるものとする。
(児童生徒の勤労観等の醸成)
第11条 町は、学校教育における勤労観及び職業観の醸成が中小企業者に必要な人材の確保及び育成に資することに鑑み、児童生徒に対して職業に関する体験の機会の提供その他必要な施策を講ずるものとする。
2 中小企業者は、児童生徒に対する職業に関する体験の機会の提供に協力するよう努めるものとする。
(町民の理解及び協力)
第12条 町民は、中小企業の振興が地域経済の発展及び町民生活の質の向上において果たす役割の重要性を理解し、中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
2 町民は、消費者として町内で生産、製造、加工された物品を購入、消費し、又は提供されるサービスを利用することにより、中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
(基本計画の策定等)
第13条 町長は、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本方針に基づいて、矢巾町中小企業振興基本計画(以下この条において「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 基本計画には、中小企業の振興を総合的かつ計画的に推進するための目標、施策その他必要な事項を定めるものとする。
3 町長は、基本計画を策定したときはこれを公表するものとする。
4 町長は、中小企業の振興に関する施策の推進状況の検証を行い、必要があると認める場合は、基本計画を変更できるものとする。
(意見の聴取等)
第14条 町は、中小企業の振興に関する施策を効果的に推進するため、中小企業者、中小企業関係団体等の意見を聴くものとする。
(財政上の措置)
第15条 町は、中小企業の振興に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。
(委任)
第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(矢巾町商工業者等による地域活性化に関する条例の廃止)
2 矢巾町商工業者等による地域活性化に関する条例(平成23年矢巾町条例第1号)は、廃止する。